ブログ移行のお知らせ

この度、ブログをkosukeokahara.comのドメインの方に移行し、リニューアルすることになりました。

過去の記事、コメントなどは、全て新しいブログに移行済みです。

このブログは1週間ほどで削除しようと考えていますので、RSSフィ−ドなどで登録くださっている方、ブックマークに入れられている方は、登録の変更をお願いいたします。

新しいブログのアドレスは

ブログをリニューアルしました。以前のブログをRSSフィードなどで登録されていた方は、こちらの方で再度ご登録お願いします。活動のお知らせなど もこちらに全て書き込むので、今まであった NEWS のページは無くなります。

日本語ブログのアドレスは

http://www.kosukeokahara.com/blog-j/

になります。

ウェブサイト kosukeokahara.com からも簡単にアクセスできます。

今後ともよろしくお願いいたします。

岡原功祐

Tags: お知らせ

Slideluck Potshow 6月23日 in パリ

日本でのイベントではないのですが、6月23日(水)午後7時より、パリで SLIDELUCK POTSHOWというイベントがあります。簡単に言うと、スライドショーイベントで、多少食べるものも出るといったものです。

色々な種類の写真がスライドショーで流されますが、僕がバンコクで撮った写真もこの中で上映されることになりました。あくまで写真全般を見せるためのイベントなので、フォトジャーナリズム系の写真はそのうちの一部です。

とても有名な写真家の写真も上映されるそうです。以下は僕以外の上映者のリストの一部です。

Bruce Davidson, Christopher Anderson (Magnum Photos)

Pieter Ten Hoopen (Agence Vu')

David Burnett, Juliana Beasley (Contact Press Images)

Agnes Dherbeys (VII Mentor)

パリにいらっしゃる方で写真に興味のある方、中々面白いイベントだと思うので、参加してみてはいかがでしょうか。

詳細はSLIDELUCK POTSHOWのウェブサイトで → www.slideluckpotshow.com

メールはこちら → paris@slideluckpotshow.com

Tags: お知らせ, イベント, 写真, 情報

Twitter ジャーナリズム

ジャーナリズムというのは皆のものであると思うし、大きなメディアだけのものではない。(別にフリーランスだから負け惜しみで言っているわけではありません...)

5月、バンコクでの赤シャツのデモ、タイ軍による武力鎮圧は日本のニュースでも少しは流れていたと思うけれど、現場にいた多くのジャーナリストが iphoneやblackberry などの携帯電話で、Twitterを通して現場から逐次状況をアップデートしていた。僕も撮っていない時間はできるだけ状況をアップデートしていた。それまでTwitterなんて使ったことがなかったのだけど、他のジャーナリストが現場からつぶやいているのを見て、とても有益に思えたからだ。

TIMEなどで仕事をしているAndrew Marshall(彼は世界的なジャーナリストだと思う)やニューヨークタイムスのアサインメントをこなしていたAgnes Dherbey、タイの現地のメディアのジャーナリストなど、僕は6人ほどフォローして現場に向かった。気づいたら自分もフォローされていて(主に英語でつぶやいていたけれど)、一日後には700人近いフォロワーがついていた。

http://www.twitter.com/kosukeokahara (日・英)

ニュース通信社などで働いていない自分が最新の情報を発信できるという興味深さもあったけれど、信用に足るソース(上に挙げた人々)をフォローすることによって、バンコクの他の地域(他のフロントラインや赤シャツ地域の他の場所)の情報なども即座に入手できたので、今どこに行くべきかを考えることもできるし、セキュリティの面でもとても役にたった。

もちろん写真を撮ることがメインだし、実際にフロントラインなどにいると、Twitterどころではなかったのだけれど、情報のシェアということもあったので、できるだけTweetしていた。(ちなみにアサインメントを受けていた Russian Reporterや Wall Street Journalの編集者にも一応自分のTwitterのアドレスを教えておいた)

ただ大手の通信社(APやロイターなど)は、取材しているスタッフにTweetすることを禁止していたらしい。確かに会社として情報を流さなくてはならないので、スタッフが現場から情報を流しては問題があるだろうし、現場から流すというのは、状況を見誤って、間違った情報を流してしまうとも限らない。

個人のTweetを信用するのは、そのソースが信用に足るかどうか分からない限り、問題があるかもしれない。ただ、ムンバイのテロ事件も、イランの時も、最初の情報は市民のTweetから流れてきたなんてこともあり、それが事実か確認しなくてはならないけれど、新しいメディアとして興味深い。

とは言え、悪意のある人がやる可能性も排除できないし、たとえそうでなくても、ジャーナリストによる経験の有無、現場の状況を読む力など、色々と長短はあるわけで、その辺を先に知っておいてフォローすることができるなら、とても重宝するのではないかと思う。

というわけで、先に名前を挙げた方たちのTwitterはこちら(ほとんど英語になります)

Andrew Marshall : http://twitter.com/journotopia

Agnes Dherbeys : http://twitter.com/agnesdherbeys

Veena T :  http://twitter.com/veen_NT

Tulsathit :  http://twitter.com/tulsathit

後藤勝さん http://twitter.com/masarugoto(バンコクでも最前線で取材されていました。とても尊敬している写真家の方)

Tags: ジャーナリズム, 取材, 情報

世界報道写真展関連イベント@東京都写真美術館

今週の土曜日から世界報道写真展が東京都写真美術館で開催されます。

会期中、関連イベントがいくつか開かれますので、紹介します。そのうちの一つには僕も参加することになっています。

①トークセッション「今、報道写真に求められるもの」
2010年6月12日(土) 15:00~17:00
ゲスト:片岡英子氏(ニューズウィーク日本版フォトディレクター、世界報道写真コンテスト2010審査員)、
会田法行氏(写真家、早稲田大学講師)
会場:東京都写真美術館 1階ホール(定員190 名)
無料(本展覧会チケットまた は半券を提示)
開場:14:30、先着順

②若手カメラマンのトークセッション(これに参加します。僕とゲン・ヤマグチ氏、司会は会田法行氏)
2010年7月3日(土) 14:00~16:00
会場:東京都写真美術館 1階アトリエ(定員60名)
無料(本展覧会チケットまたは半券を提示)
開 場:13:30、先着順

第3回写美フォトドキュメンタリー・ワークショップ(主催:東京都写真美術館/朝日新聞社)
2010年7月17日(土) 10:00~17:00
2010年7月18日(日) 10:00~
2010年7月19日(月・祝) 10:00~18:00
内容:フォトジャーナリズム、フォトドキュメンタリーの現場を学べる3日間連続のプログラム
講 師:Q・サカマキ(写真家、アメリカ在住)、外山俊樹(AERAフォトディレクター)
会場:東京都写真美術館 1階アトリエ(定員15名)
事 前申込制、有料
詳細はhttp://syabi.com/contents/workshop/details-234.html

Tags: お知らせ, 写真

Any given day 〜コロンビア〜

5月19日発売のニューズウィーク日本版にも載っていたのですが、Russian Reporterでもつい先日出たので画像をはりつけます。

内容はコロンビア、メデジン市のスラムに住むギャングやその周りの人たちの日常を追ったものです。


ウェブにも載せたので、お時間ある方はご覧になってください。
http://www.kosukeokahara.com/stories/anygivenday-e/index.html

Tags: お知らせ, コロンビア

日本滞在中

バンコクより戻りました。

今まで持っていたバンコクのイメージからは想像できない光景が広がり、とてもショッキングでした。

今後は、少しの間日本に滞在して、撮影をしようかと考えています。

以下は今回アサインメントを受けていた、Russian Reporterというロシアの雑誌のページです。

Tags: お知らせ, その他, 写真, 取材

タイ暴動

バンコクにて取材中です。写真を撮っていない時間は、ここから情報を逐一更新しています。

http://www.twitter.com/kosukeokahara

Tags: お知らせ, 取材

今からバンコクへ

今日からバンコクに行ってきます。

というのも、先日亡くなった親友の写真展を彼のパートナーが企画し、その手伝いのためです。

彼がバンコクベースで活動していたということもあり、現地での写真展の開催となりました。

以下、写真展の詳細(現地で写真展の準備をしてくれている後藤由美さんのメールの転載)になります。会期中にバンコクにいらっしゃるという方、ぜひ足を運んでみてください。

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I do - I do what I do because I only have 2 hands.
〜自分にはこの2つの手で、自分のすべきことをするほかないのだから〜


I WAS THEREに亡くなってから寄稿してもらうことになったAK Kimoto氏。
http://bit.ly/i-was-there-9
オーストラリアの写真祭FotoFreoに参加するため現地に向かっていた矢先に突然亡くなりました。このたび、彼のパートナーでアーティストのカトゥーン氏との共同展を開催することになりました。アフガニスタンのバダフシャーン州の多くの住民がアヘン中毒となっている集落からのAK氏の写真18点と、その写真をもとに描かれた18点の絵を展示いたします。是非、バンコックにいる方、ご友人、お知り合いがバ ンコックにいるという方にもお知らせ下さい。
http://bit.ly/I-DO-AK-TOON

尚、5月7日の午後6時からオープニングを行います。そのなかで、展示作品のオークションを行うことになっており、収益金をAK氏が撮影した家族に贈ると いうことを計画中です。是非、多くの方に参加して頂ければと思っております。
pdfのフライヤーはhttp://bit.ly/IDO-FLIER (英語のみ)

front-flyer-fin-18.04.10-create.jpgI do what I do because I only have 2 hands. by Yumi Goto
When Cartoon and I were thinking about what to call this exhibition, “I do” was among Cartoon’s suggestions. I wasn’t really convinced but, somehow, I liked it and so we tentatively gave our project the title “I do”.

Later, I told Kosuke Okahara, a photographer who was like a brother to AK, about the title although I still couldn’t explain much about the idea behind calling the exhibition “I do”. He simply said: “If this was taken from AK’s last message to James Whitlow Delano (AK’s friend and mentor) - ‘I do what I do because I only have two hands’ - then I understand." James shared AK's message with us after AK passed away - and so we agreed on why it was a plausible title for this exhibition.

Even though Cartoon’s interpretation of “I do” didn’t come from AK’ s message, it was not a mere coincidence. These two expressive artists, each with two hands, had focused on very different subjects and concepts but had been thinking along similar lines all the time. I finally realized they were spiritually tied as well.

AK had suddenly left us but his words stay with Cartoon, who is now asking herself: “Do I do what I do because I only have two hands?”

In fact, this contemplation has triggered a significant, creative period for Cartoon as an artist – as well as for herself.

And now, we can see her answer to the question in her newly-painted works.

Having been left alone, she has done what she has done with her two hands as an artist, dedicating all her love and soul to AK. In doing so, she has created something we can touch and feel.

And here, I commit myself as well: “I do what I do because I only have two hands.”

Yumi Goto

Please join us the opening. 6pm Friday May 7th.


I do what I do because I only have 2 hands. by AK Kimoto / Cartoon(Panotphorn Changlek) Visual Collaboration and Reinterpretating the Badakhshan, Afghanistan Series:

Date: May 1st to 12th
Opening reception: 6pm, Friday May 7th (*Auction of exhibited works is planned on the opening day. Part of the proceeds goes to the family who AK Kimoto photographed)

The digital flier is available from http://bit.ly/IDO-FLIER
YOUR RSVP ON FACEBOOK: http://bit.ly/i-do-ak-toon

This collaboration is a celebration of the combined talents of two people who were as close as individuals could be. We lost AK Kimoto suddenly at the end of March. I say “we” because he touched so many people’s lives in his brief time in this world and he represented so much promise to the photography world.

The loss to friends and the photography world compare little to the loss to his family and his partner in life, and painter, Cartoon(Panotphorn Changlek). Cartoon has selected photographs of AK’s and created something entirely new in her powerful, bold and vivid paintings. When two people come together, they inevitably witness the world in a different way but their vision can complement and almost exist simultaneously as matter and anti-matter, in balance and free from friction or conflict. They can stand on their own and yet feed off the energy taken from the other, given back to the other. Cartoon’s work takes AK’s vision and filters it through a different cultural context and different wave length while leaving from exactly the same point of departure.

It makes one wonder what could have been and how this seed could have flourished. Still, this project speaks louder than anyone of us ever could.

http://www.rethink-dispatches.com/photo-essay/in-memory-of-a-k-kimoto/
http://bit.ly/i-was-there-ak

Date: May 1st to 12th
Opening reception: 6pm, Friday May 7th (*Auction of exhibited works is planned on the opening day. Part of the proceeds goes to the family who AK Kimoto photographed)
Venue: At Hof art gallery
http://www.hof-art.net/eng/file/contact.php

More information:
Yumi Goto g.youme@gmail.com 081 206 9973
Kosuke Okahara kosukeokahara@gmail.com
Cartoon 087 055 9407 (English and Thai)
Hof Art gallery hofartinfo@gmail.com 089 926 2196

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以上になります。

Tags: お知らせ, 写真

帰国

更新が滞ってしまいました。

コロンビアからフランスに戻り、親友に不幸があったため日本に戻ってきました。今後は、タイや中国に行った後、フランスには6月末に戻る予定です。

今回の取材については、発表機会ができましたらまたお知らせします。その際にはご覧いただければ幸いです。

Tags: お知らせ

ディエゴ

女のアパートを出ると、さらにバリオの上の方に向かって坂を登った。20度以上はあるだろう、急勾配の坂が続く。歩いていると、上からおりてきた車がすぐ横で止まった。

「マルロン何してるんだ。今からダウンタウンに行くんだ。お前もこないか?」

車を運転していたのはディエゴという、この地域のギャングの一人だ。

「そうだな。じゃぁ行くか。土曜の夜だしな」

そう言うマルロンと一緒にディエゴの車に乗り込む。ディエゴは25歳、話し方からするとコカインを多少やりすぎているように思えた。運転席には9ミリのリボルバーが見える。バリオを下る前に自宅に寄るといい、通り3つほど挟んだディエゴの家に向かった。

ディエゴの家に着くと、50歳くらいの女性が怒鳴りちらしながらこちらに向かって来るのが見えた。

「あんたまた何してるんだい!いつもくだらないことばかりして!」

女性は車の窓から手を突っ込んで車のキーを抜いてしまった。さらにディエゴを車から引きずりだす。

「やめてくれよ。ほら、中国人の友達もいるんだ」

「だから何だって言うんだい!」

女性はディエゴの母親で、仕事を探さず、ギャングに加わっているディエゴに対して怒りをあらわにしていた。

「こりゃだめだ、行こう」

マルロンが僕の腕をひく。ギャングとは言え、母親にかんしゃくを起こされてはどうしようもないらしい。ディエゴはそのまま母親に引きずられて家の中へと入って行った。

「あいつは何人も殺してるんだ。子供を恐れて何も言えない親は多いけど、ああいう親も中にはいるんだよ。あいつの兄は軍隊で働いているから、余計にディエゴのことを恥だと思ってしまうんだろうな。珍しいよ、ああやって言う母親は。うちの母親なんて生まれた時から俺のこと捨ててたくらいだからな」

そう言うマルロンは、今まで何人殺したのかと聞くと

「俺か?俺はそんなでもないよ。3人だけだよ」

表情一つ変えずに、彼はさらっと答えた。

Tags: コロンビア

マリア

手を振っていた女は自分でも

「あたし、タイ人みたいな顔してるでしょ?」

というほどタイ人のような顔をしていた。

マリアと名乗るその女の後についていく。アパートに入るとマリファナの強烈な匂いが鼻をついた。見た目はどこにでもいそうな若い女だが、この辺りのマリファナの元締めをしているという。アパートの中には3部屋ほどあり、中で何をしているのかは分からないが、どうやら大量のマリファナが保管してあるようだった。こっちの考えていることを察したのか、マリアは言った。

「今はないわよ。全部で払っちゃったから。その辺の通りで売ってる男たちがいるでしょ。あの子たちが私の下で働いているの」

そう言うと、小さなビニール袋から葉を取り出し、器用に紙で巻いていく。巻きたてのマリファナをふかしていると、部屋から子供が飛び出して来た。マリアの息子だという。シングルマザーのマリアは、女手一つで息子を育てていた。すると、他の部屋から今度は赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。マリアが部屋に入り赤ん坊をあやしだす。

「この子はあたしの子じゃないのよ。あと2人ここに住んでてね。仕事仲間よ」

マリファナを売り始めたのは数年前からだという。他に良い稼ぎの仕事もないので、自然とこの商売に脚を踏み入れた。大した稼ぎになるわけでもないが、道やバスの中でキャンディーを売るよりはよっぽどいい。子供を学校に行かせるためにも金は必要だという。

「ねぇ、あんた、日本に連れて行ってよ。あたしの顔タイ人みたいだし何とかなると思うのよ。それにいい稼ぎの仕事もあるんでしょ?そしたらこっちに仕送りもできるし、ねぇ、何とかならないの?」

マリアはどこのバリオでも聞いたような台詞をはいた。

外国人と結婚して国を出ていくコロンビア人もまた多い。特に貧しい地域に生まれ育った人たちにとっては、貧困から抜け出すための夢のチケットと言っても過言ではないかもしれない。

「あんたの友達でもいいからさ、誰かあたしに紹介してくれない?」

マリアは何度も繰り返す。笑っているが、冗談なのか本気なのかこちらも態度に困ってしまう。

「はぁ、もういいわよ」

そう言うと、また気だるそうに煙をくゆらせた。

Tags: コロンビア

FotoFreo 2010

コロンビアからアメリカまで向かう密入国者を追ったストーリー "Almost Paradice" が、オーストラリアのフラマントルで行われるフォトフェスティバル "FotoFreo" にてプロジェクション上映されます。上映日時は3月28日の午後8時からになります。

Tags: お知らせ, 写真, 情報

マルロン

3日後、ジョバンニと約束した時間に合わせ、バリオ・トリステに向かった。

2時間ほど待っていると、ジョバンニが奥の部屋から出て来て言った。

「来たぞ。あとは自分で話してくれ」

ドアの方に目をやると、若い男がこちらを見ていた。

「お前か、で、何をしたいんだ?ジョバンニに頼まれたから案内くらいならするけど」

その男は28歳でマルロンと言い、今は比較的落ち着いているバリオに住んでいるという。

「とりあえず今日はうちに泊まっていけばいいよ」

そう言うマルロンと一緒に彼の家に向かう。日も落ちかけた午後5時半、雨が降り始め、10分もするとどしゃぶりになった。

マルロンの家はロブレドというメデジンの西側の斜面に位置するバリオにある。右派民兵もギャングもいるが、他のバリオと違い、それらが一つのグループにまとまっているので殺しも起きにくい。

大雨の中マルロンの家に着くと、彼の祖母が出迎えてくれた。

「あんた中国人かい?雨すごかったろう。ほらこれで拭きなさい」

マルロンは28歳で息子が一人いるが、別れた恋人が面倒をみていた。コロンビアでよくありがちなパターンだ。何故一緒に住まないのかと聞くと、黙ってしまった。息子には定期的に会いに行ってはいるが、別れた恋人からは煙たがられているという。

日が落ちても、バリオには大音量で音楽が流れにぎやかだ。道では若者たちがバイクを乗り回している。

「みんなここのギャングだよ。パトロールしているんだ。ここのバリオは安全とは言え、いつ外から誰か入ってくるか分からないからな」

マルロンとバリオを歩いていると、若い女がこちらに向かって手を振っているのが見えた。

「ちょうどいい。あの女のところに行こう。あの女は若いけど、結構な大物なんだ」

Tags: コロンビア

Noorderlicht Photography Festival

オランダのグローニンゲンで毎年行われているフォトフェスティバル「Noorderlicht」が、展示作品の募集を始めました。作品が選ばれた場合は、フェスティバルで写真展を開催することができます。

僕も去年のフェスティバルで写真展をしました。

詳しいガイドラインなどは以下から参照してください。(英語になります)

http://www.noorderlicht.com/en/photofestival/photofestival-2010/

ちなみに締め切りは4月12日になります。

Tags: 写真, 情報

コロンビア・リポート

僕の取材は基本的にすごく個人レベルのドキュメンタリーで、どうしても政治的に大きな話題やニュースなどとは離れています。なのでここでは様々なコロンビアの情報(政治的なニュースからスポーツ、観光情報まで)を得られるウェブサイトを紹介したいと思います。

Colombia Reports / http://www.colombiareports.com

Colombia Reports は、数年前に始まったウェブサイトで、メデジンをベースにコロンビアに関する様々なニュースを提供しています。英語になりますが、コロンビアに興味のある方は、是非ご覧になってください。

Tags: コロンビア, 情報

ジョバンニ

待ち合わせ場所のガソリンスタンドが見えてきたので、タクシーの運転手に車を停めるように言うと、

「ここで降りるのかい?この辺りはすごく危険なんだ。歩いちゃいけないよ」

と制された。

「一応この辺は知り合いがいるから...」

そう言い、タクシーを降りる。

バリオ・トリステ。メデジンの中心部から5分ほどのこの地区は、車の修理工場が集まっている地域で、治安の悪い一帯としても知られている。黒く汚れた作業服姿の修理工たちに混じり、明らかに路上強盗をしてそうな輩も目につく。先の曲がり角に目を向けると、クラック中毒の男女たちが煙をくゆらせながら路上でポーカーに興じている。バーの軒先でビールを飲んでいる黒人の男は明らかに右派民兵だ。待ち合わせ場所に目当ての男がいないので周りを見回していると、

「ハポネス!(日本人)」

と声が聞こえた。肘より先がない男がこっちに向かって腕を振っている。モチョだ。

モチョはバリオ・トリステの工場で働いている49歳のセニョールで、以前来た時によく彼のオフィスで時間をつぶしていた。モチョにジョバンニを探していることを伝えると、オフィスまで連れて行ってくれるという。

「キュースコ!」

僕の名前(コースケ)を何年経っても正しく発音してくれないジョバンニは、小さな頃から内戦のまっただ中で育って来た、この辺りでは一目置かれた存在だ。毎回取材の際にはジョバンニの元を訪れ、情報をもらっていた。今回の取材のことを話すと、すぐに誰かの顔が浮かんだのか、一人紹介してもらえることになった。

「3日後にここだ。俺の知り合いだから大丈夫だ。信用していい」

携帯電話を置くと、ジョバンニは新しい仕事を見せたいと言いだした。奥の部屋に入ると、20人以上の...見るからに路上強盗をしてそうな男から、売春婦のような格好をした女、麻薬中毒者のような顔色の女の子......たちが、楽しそうに盛り上がっている。

一体何をしているのか聞くと、これから映画を撮り始めるのだという。ジョバンニは2年前からジャーナリズム学校に通い始め、映画撮影の準備を進めていた。

「映画はバリオトリステを舞台にしたものなんだ。強盗が主役だ」

「でも彼ら役者じゃなくて本物みたいだけど?」

「そうだよ。みんな本物だ。リアリティがあるだろ」

すると、隣にいたレイディという売春婦が台本の一部を指差して言った。

「ほらここ、あんたも出るのよ。書いてあるでしょ、中国人が強盗に遭うって」

どうにも苦笑するしかないこちらを見て、本物のキャストたちとジョバンニはゲラゲラと笑う。

「キュースコ、じゃぁ3日後な」

打ち合わせを続けるからと、ジョバンニは部屋の奥へ戻って行った。

Tags: コロンビア

停戦

その日も無線から忙しく殺人の連絡が入っていた。

「795、795、アランフエス!」

死体回収の専門チームが出動の準備を始める。

向かったのはアランフエスと呼ばれるバリオ。

現場に着くと、現場保護のためのテープが張られ、見物人たちが群がっていた。

「あそこだ。倒れてるの見えるだろ」

死体回収チームのホルヘが20メーターほど先を指さす。民家の玄関の前で、人が倒れているのが見えた。

25歳のギャングの若者。

頭や体に計17発の銃弾が撃ち込まれていた。

死体回収のチームは現場検証を済まし、手慣れた仕草で死体を白いビニールに包む。

「最初はきつかったけどね、まぁ慣れるものだよ」

死体を回収車に乗せ、オフィスへ。それから司法解剖へと引き渡す。

オフィスに戻ると、また次の無線。

「794 794 カスティージャ...」

2月に入ってからメデジンでの殺人件数は減少傾向にある。ギャング同士が停戦に合意したからだと言われている。3月の下旬からメデジンで行われる南米大会(スポーツ・アジア大会の南米版)が行われるため、ギャングも街のイメージ回復のために協力しているのだという。

とは言え、毎日10件近くの殺人が起き、それ以上減る気配はない。

「今はそれでもまともな方さ。南米大会の後は、また元に戻ると思うよ」

夜も明けて来たころ、ホルヘが疲れ切った表情で言った。

翌朝、司法解剖の施設を訪れると、解剖台の半数は、夜運ばれてきた死体で埋まっていた。

Tags: コロンビア

翻弄される大人たち

メデジン市は、ギャンググループの若者たちとの対話にも積極的に乗り出している。司法で裁くだけではなく、彼らに手を差し伸べ、暴力から脚を洗うように働きかけている。

交渉の席でメデジン市は、銃を置くことと引き換えに、彼らが学校で学ぶための金銭援助をすることを約束した。

「なぜ学校に直接金を払わないのか?」

そんなことを聞くと、とあるバリオの人権活動家のジョンは言った。

「それは彼らとの交渉事で決まったんだ。ギャングに直接金を払って、彼らがその金で学校にいくっていうことにね」

しかし、実際にはその金は新たな銃と麻薬のための資金となり、メデジン市の職員が授業をチェックしにくる日しか彼らは学校に出席しない。結局行政の金は、さらなる暴力を生み出すことに協力していることになる。

「みんなそんなことは最初から分かっていたんだ。かといって行政も何もしないわけにも行かないからね。金だけ渡して何かしているように見せているといってもいいと思う。それ以上は見て見ないふりをしているとしか言いようがない。結局子供たちに翻弄されているんだよ」

しかし、子供たちがギャングに流れて行くこの環境こそ一番の罪だとジョンは言う。

「彼らはね、被害者でもあるんだよ。ここに生まれてしまったのだからね。かといって、罪を犯して許されるわけにはいかないとも思う」

ジョンの葛藤をあざ笑うかのように、この日もメデジンでは10件の殺人があった。

Tags: コロンビア

Agence VU' 脱退

取材のことではありませんが、3年間所属していた Agence Vu' を2月15日をもって辞めることになりました。

Vuとの契約は3年間で、最初から同じところに長くいることはしないようにしようと思っていました。ここ1年ほど考えていましたが、3年間という節目で辞めることにしました。

しばらくは新たにどこかに所属するということはせずに、一人で活動するつもりでいます。

また、まだ詳しくは決まっていませんが、オランダから一つありがたいオファーも頂きました。詳しく決まり次第、お知らせします。

Tags: お知らせ

La Sierra ②

翌日、新聞社の前に着くと、すでにコンタクトの車が待っていた。ホセは新聞社の車で少し遅れて行くという。La Sierraには30分ほどで到着した。

到着するとゴルドという男が現れた。La Sierraは他の貧しいバリオと比べても貧しい。1時間ほど歩いたところで、ゴルドが家に案内してくれた。母親と父親、そしてゴルドの姉がその家には住んでいるという。母親に、息子がギャングであることについて聞くと、口を閉ざしてうつむいてしまった。常に暴力が存在してきた地域では、それに加わらない方が難しいように思う。ゴルドは僕と同い年の29歳で、4年間刑務所に入っていたことがあるという。

姉の姿が見あたらないので、どこにいるのか訪ねると、奥の部屋に通された。

「見ての通り、この子は目しか動かせないのよ。昔は丸々してたのにね、今じゃこんなに痩せ細っちゃって。脳に障害があるから私たちが何言ってるのかもわからないのよ」

ゴルドの姉は水頭症になり、治療を受けたがすでに遅かったという。今では寝たきりで、話をすることもできなくなってしまった。

「食事は手術でつけたチューブから栄養剤を流すの。おしめとかもお金がかかって大変だけど、こうしてないと生きていけないのよね、この子は」

母親は娘の頭をやさしくさする。

貧しい上に医療費がかかり、生活はより厳しくなった。

すると、ゴルドが部屋の外から手招きしているのが見えた。

「こんなだよ。俺が凖軍組織から金をもらっても、ほとんど助けになんてならない。じゃぁ、俺はこれから街を離れるよ。最近警察の捜査が厳しくて、うかうかこの辺を歩くこともできないんだ」

持っていた拳銃を隠すと、ゴルドはバリオのどこかに消えていった。

Tags: コロンビア

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