田巻さんはとても穏やかな方で、患者さんに対していつも真摯に向き合っている人柄をうかがい知ることができました。

ここで、緩和ケアの根源である苦痛のとらえ方について補足したいと思います。人間の苦痛には、次の要素があるそうです。

・身体的苦痛:身体の痛み、疼痛。

・精神的苦痛:不安感、苛立ち、恐怖感など。

・社会的苦痛:身分の保障がされない、家庭内でのポジションが変化するという思いからくる苦痛など。

・スピリチュアルペイン:人間の生命の根源にかかわるもの。「どうして自分だけが」「こんなに頑張っているのに・・・」という思いからくる苦痛など。

緩和ケアでは、相互作用しているこれらの苦痛を統合的にとらえ、患者さんをさまざまな面からサポートしています。このような痛みの概念を、トータルペインといいます。

田巻さんが緩和ケアの世界に入ったきっかけとして、ホスピス医として有名な山崎章郎氏や柏木哲夫氏の著作の影響があったそうです。消化器内科医になって10年くらいした頃、「自分にとって本当にやりたいことは何だろうか」とだんだん考えるようになった時に、これらの本に出会ったとのこと。それまでに接した患者さん自身からも大きな影響を受けたとおっしゃっていました。


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