【社会】“正義の象徴”の検察「いつも通りにやった」のに大ピンチ…「完璧な捜査」か「壮大な虚構」か 郵便不正公判
「彼女が犯罪にかかわっているという大前提、ストーリーが事実ではない。話自体が『壮大な虚構』と思える」 検察の証人に呼ばれたはずの厚生労働省元部長、塩田幸雄(59)がかつての部下だった元局長、 村木厚子(54)をかばう証言をしたのは、郵便不正事件の公判が始まって間もない2月8日のことだった。 大阪地検特捜部の取り調べには、参院議員の石井一(76)から電話を受け、村木に便宜を 図るよう指示したと「供述」している。法廷ではその内容を「想像で答えた」と真っ向から否定した。 裁判の局面が変わった瞬間だった。 検察幹部は「調書のやりとりは細かい。想像のはずがない」と一蹴(いっしゅう)したが、 取調官の誘導や脅迫があった−として供述を覆した証人は11人中8人にのぼった。 裁判所は調書43通のうち実に34通を証拠として認めず、検察内部からは、 すでに無罪を覚悟した発言も聞こえてくる。 塩田は冒頭の証言の2カ月後、香川県小豆島町長に就任した。捜査対象者がいわば 裏切りの果てに政治家に転身したととらえた検察にとっては、屈辱に感じただろう。 それにしても、正義の象徴である検察は、なぜこんな窮地に追い込まれたのか。 村木を逮捕した平成21年6月当時、検察幹部の発言は自信に満ちあふれていた。 「縦、横、斜め、すべて証拠でがんじがらめ。有罪は確実だ」 ただ、ここでいう証拠の大半は物証ではなく、のちに弁護人から「ストーリーありき」と批判された供述調書だった。 村木の共犯とされる障害者団体「凛の会」発起人、河野克史(69)は、調書が作文だという “証拠”を持っている。関係者の調書の写しだ。そこには、東京出身の河野がけっして使わない 関西弁で会話したことになっていた。 凛の会の元メンバー(52)は自身の受けた取り調べをこう振り返った。 「検事は自分の作ったストーリーに酔い、悦に入るような感じで調書を読み聞かせた」。 一方で検事の一人は「間違ったことをしたつもりはなく、いつも通りにやっただけだ」と話す。 (続く)
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