カリブ海の北朝鮮-ハイチ
1月12日にカリブ海の国ハイチ共和国でM7.0の大地震が起きた。白亜の大統領宮殿は倒壊し、首都ポルトープランスを中心に10万人とも言われる死者が出ているとか。アメリカ合衆国をはじめ各国の支援が始まっている。
ところで、ハイチという国は日本から遠くなじみが薄い。
新大陸最初の独立国は、アメリカ合衆国(1776年)。では2番目の独立国は?と聞かれて、ハイチ(1804年)と答えられる日本人はよほどの歴史通である。あるいはハイチがフランスの植民地だということを知っている人も少ないはずだ。
ハイチという国は新大陸では2番目の独立国であり、最初の黒人共和国である。1697年のナイメーヘンの和約でフランスの植民地「サン・ドミング」になり1789年のフランス革命を受けて独立革命が勃発し1804年に独立した。
カリブ海ではキューバ島に次ぎ大きな島であるエスパニョーラ島の西側3分の1を占めるハイチ。かつては隣国のドミニカ共和国を征服する勢いがあったが、今では立場が逆転しハイチは西半球最貧国。つまり「新世界」では最貧国ということになる。
ハイチのような国の貧困は欧米列強の搾取収奪の責任だといわれるが、独立から200年も経っているのに、まともなインフラの整備や国民教育ができないのは外国の責任ではなく自国の政治がまともに行われていないからであろう。
1804年以来のハイチの歴史は大雑把に見ても混乱の時代である。特に1957年から1986年まで続いたデュヴァリエ親子の世襲独裁はいまのハイチの貧困の直接的な原因だろう。
世襲独裁で国民が貧困に喘ぐ、国土が荒廃するいえば北朝鮮を思い出す。ハイチはカリブ海の北朝鮮と言えるかもしれない。
デュヴァリエ独裁後も政治的混乱は続き、アリスティド大統領(当時)が選挙で選ばれたときには軍事クーデターがおきアリスティド氏は亡命。アメリカが軍事政権に圧力をかけた。カリブ海はアメリカの裏庭である。よくある話である。
しかし興味深いのはハイチの軍事政権がアメリカの圧力にたいして「クリントン大統領(当時)に「ヴードゥー教の呪いをかけた」と発表したということである。敵国の元首に呪いをかけるというところは、国際社会の失笑を買ったのは言うまでもない。
現在は国連のハイチ安定化ミッションが始まりブラジル陸軍を主とした国連平和維持軍が展開しているらしい。それでもハイチは2009年の「失敗国 家ランキング」では北朝鮮のワースト17位の上を行く12位である。北朝鮮より「破綻している、失敗している国家」というのはどういうものか?「独立して から200年以上たって失敗している国家」というのはどういうものだろうか?
インフラの整備や読み書きなど国民の基礎的な教育水準や民主的的安定した政府などが欠如した最貧国は、発展するためにどこから支援の手を伸ばせばいいのか?途上国支援の呼び声は、先進国のどこでも高いが実際手を着けてみる当事国の努力がなければ難しい。
デュヴァリエ親子はハイチを私物化しひたすら遊興に国家財産を使い果たした。一方で国民は貧しさから逃れるためにアメリカや隣のドミニカ共和国へと亡命している。上は私服を肥やし、下は国外に逃げるでは発展のしようがない。
アル・ゴアの映画「不都合な真実」ではエスパニョーラ島の衛星写真を見せ、ハイチの山林は乱伐で荒廃しているがドミニカ共和国の山林は維持されい てることを紹介し、政策で環境が変わることを示して見せた。2004年にはハイチの小学校の校舎が突如崩壊し子どもたちが多数死亡する悲劇が起きた。
平時でも倒壊の恐れのある建物が建っているのがハイチの現状である。そう考えると地震で、壊滅的な打撃を受けるのは当然である。
救助活動など支援に各国が乗り出すのは自然であるが、このような悲劇を繰り返さないためのインフラ整備や、民主化、安定化などがハイチで推し進められるべきであるのは言うまでもない。
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