26th 7 月 2010
I WAS THERE #25 EMAN MOHAMMED

photo+text © Eman Mohammed(ガザ地区)
砕け散った過去の記憶と先の見えない未来のはざまに、モハメド・ハーデルと妻エブテサム、その家族22人がかつて“我が家”と呼んだ瓦礫(がれき)の山がある。一家が避難場所として選んだのは、破壊されたこの家だった。2008年から2009年まで続いたガザ地区最後の戦争で、ここはイスラエル軍の野戦の標的となっていた。
戦争が終わったあと、たくさんの家族が同じように家をなくし、行く当てもないままに壊れた自宅近くでキャンプをして暮らしていた。
ハーデル一家が他の家族と大きく違っていたのは、鳩とのあいだに独特の絆を築いていたということだ。家族のほとんどを亡くした悲しみを分かち合うかのように、モハメド・ハーデルと子どもたちが行くところ、鳩はどこへでも付いていった。
モハメドは鳩をかわいがっていた。戦争が起きようが、その事実に変わりはなかった。鳩とモハメドは慰めを求め合うかのように、全てを失ったあとも互いに寄り添いつづけた。
この一年間、ハーデル一家は瓦礫となった家の下で暮らしてきた。電気も生活必需品もないまま、海外や地元の組織による人道支援に頼って生活している。
English original text:
Between the shattered memories of the past and the unknown misty future lie piles of remains once called "home" to Mohammed Khader, his wife, Ebtesam, and their 22 family members. This was the place where they chose to take shelter from their destroyed house that was targeted during the Israeli field operation on the Gaza strip between 2008-2009.
Their situation was not very different from dozens of families who became homeless after the war ended: they had to camp out near their destroyed houses. However, what was remarkable in Khader's family was the distinct relation they had with their pigeons. As they had their share of misery after most of them died, the pigeons would follow no matter where Mohammed Khader and his kids would go.
The war didn't change the fact that Mohammed took care of his pigeons. As both were seeking some kind of comfort after nothing else was left, they found that they still had the company of each other.
Khader's family have been living for the past 12 months beneath the rubble of their home without electricity or main supplies. They have been relying on humanitarian aid from international and local organizations.
(Gaza)
写真家プロフィール:
エマン・モハメド (Eman Mohammed)
パレスチナ出身。ガザ地区を拠点とする、、22歳のフォトジャーナリスト兼記者である。2006年以降、ガザ地区の事件やパレスチナとイスラエルとの間の紛争を取材してきた。
最近注目を集める作品に、ガザ地区における過激派武装グループの台頭と形成、あるいは異なる政治グループや過激派グループ間のにらみあい、銃撃戦を収めた写真などがある。また、イスラエル軍とエジプト軍の包囲により物資・医薬品が枯渇するようになったガザ地区パレスチナ自治区の崩壊と困難、そこからの復興、ガザ地区からのロケット発射、イスラエル軍による激しい報復などを記録に残している。
これまで重点的に取り組んできたのは、2008年から2009年にかけてのイスラエル軍によるガザ地区の空爆や、イスラエル軍のガザ地区爆撃による破壊と殺人、その後の侵略などについてである。
戦争のあいだ、パレスチナ人に対するイスラエル人の残虐行為の詳細を明らかにするフォト・ストーリーに取り組み、イスラエル軍による爆撃に苦しむ老人や子どもたち、白リン弾の使用、パレスチナ人の絶望、絶え間ない空爆のなかで生き延びようともがく人々などを取り上げている。
その作品は「ガーディアン」や「ワシントン・ポスト」「マザー・ジョーンズ」「ル・モンド」「ハアレツ紙」他、多くの国際的な刊行物に掲載され、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)、ダブリン(アイルランド)、テルアヴィヴ(イスラエル)、モントリオール(カナダ)など、世界中で展示されている。
受賞歴:
PDNが選ぶ活躍が期待される30人の写真家2009
カルミナック・ジャスティオン賞2009 審査員特別賞
ローカル・テスティモニ賞2009 “日常”部門次点
ローカル・テスティモニ賞2009 “自然と環境”部門次点
ユニセフ・フォト・オブ・ザ・イヤー2009 選外佳作
英国ニュー・メディア賞2008-2009 ガザ地区戦争報道部門
ワールドプレスフォト2009及び2010 ヨープ・スヴァルト・マスタークラス ノミネート
http://www.lightstalkers.org/eman-mohammed

photo+text © Eman Mohammed(ガザ地区)
砕け散った過去の記憶と先の見えない未来のはざまに、モハメド・ハーデルと妻エブテサム、その家族22人がかつて“我が家”と呼んだ瓦礫(がれき)の山がある。一家が避難場所として選んだのは、破壊されたこの家だった。2008年から2009年まで続いたガザ地区最後の戦争で、ここはイスラエル軍の野戦の標的となっていた。
戦争が終わったあと、たくさんの家族が同じように家をなくし、行く当てもないままに壊れた自宅近くでキャンプをして暮らしていた。
ハーデル一家が他の家族と大きく違っていたのは、鳩とのあいだに独特の絆を築いていたということだ。家族のほとんどを亡くした悲しみを分かち合うかのように、モハメド・ハーデルと子どもたちが行くところ、鳩はどこへでも付いていった。
モハメドは鳩をかわいがっていた。戦争が起きようが、その事実に変わりはなかった。鳩とモハメドは慰めを求め合うかのように、全てを失ったあとも互いに寄り添いつづけた。
この一年間、ハーデル一家は瓦礫となった家の下で暮らしてきた。電気も生活必需品もないまま、海外や地元の組織による人道支援に頼って生活している。
English original text:
Between the shattered memories of the past and the unknown misty future lie piles of remains once called "home" to Mohammed Khader, his wife, Ebtesam, and their 22 family members. This was the place where they chose to take shelter from their destroyed house that was targeted during the Israeli field operation on the Gaza strip between 2008-2009.
Their situation was not very different from dozens of families who became homeless after the war ended: they had to camp out near their destroyed houses. However, what was remarkable in Khader's family was the distinct relation they had with their pigeons. As they had their share of misery after most of them died, the pigeons would follow no matter where Mohammed Khader and his kids would go.
The war didn't change the fact that Mohammed took care of his pigeons. As both were seeking some kind of comfort after nothing else was left, they found that they still had the company of each other.
Khader's family have been living for the past 12 months beneath the rubble of their home without electricity or main supplies. They have been relying on humanitarian aid from international and local organizations.
(Gaza)
写真家プロフィール:
エマン・モハメド (Eman Mohammed)
パレスチナ出身。ガザ地区を拠点とする、、22歳のフォトジャーナリスト兼記者である。2006年以降、ガザ地区の事件やパレスチナとイスラエルとの間の紛争を取材してきた。
最近注目を集める作品に、ガザ地区における過激派武装グループの台頭と形成、あるいは異なる政治グループや過激派グループ間のにらみあい、銃撃戦を収めた写真などがある。また、イスラエル軍とエジプト軍の包囲により物資・医薬品が枯渇するようになったガザ地区パレスチナ自治区の崩壊と困難、そこからの復興、ガザ地区からのロケット発射、イスラエル軍による激しい報復などを記録に残している。
これまで重点的に取り組んできたのは、2008年から2009年にかけてのイスラエル軍によるガザ地区の空爆や、イスラエル軍のガザ地区爆撃による破壊と殺人、その後の侵略などについてである。
戦争のあいだ、パレスチナ人に対するイスラエル人の残虐行為の詳細を明らかにするフォト・ストーリーに取り組み、イスラエル軍による爆撃に苦しむ老人や子どもたち、白リン弾の使用、パレスチナ人の絶望、絶え間ない空爆のなかで生き延びようともがく人々などを取り上げている。
その作品は「ガーディアン」や「ワシントン・ポスト」「マザー・ジョーンズ」「ル・モンド」「ハアレツ紙」他、多くの国際的な刊行物に掲載され、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)、ダブリン(アイルランド)、テルアヴィヴ(イスラエル)、モントリオール(カナダ)など、世界中で展示されている。
受賞歴:
PDNが選ぶ活躍が期待される30人の写真家2009
カルミナック・ジャスティオン賞2009 審査員特別賞
ローカル・テスティモニ賞2009 “日常”部門次点
ローカル・テスティモニ賞2009 “自然と環境”部門次点
ユニセフ・フォト・オブ・ザ・イヤー2009 選外佳作
英国ニュー・メディア賞2008-2009 ガザ地区戦争報道部門
ワールドプレスフォト2009及び2010 ヨープ・スヴァルト・マスタークラス ノミネート
http://www.lightstalkers.org/eman-mohammed
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