CD=Hoboes' Favorites Collection vol.08 the MoonNotes with Yae Koitabashi
Listening Library "Hoboes' Favorites Collection"
〜Original Mini Album series
vol.8 the MoonNotes with Yae Koitabashi
"Quiet Vibes"
・・・・・・・・・TR-hfc008 1000円(税込)
1. the Last Rose of Summer夏の名残のバラ> 3:53
19世紀半ば、アイルランドの国民的詩人トーマス・ムーアの詩に曲がつけられたもので、比較的新しいアイルランド民謡ながら今では誰もが知る名曲となった。日本でも、明治17年に小学唱歌として「庭の千草」の題名で紹介され、愛唱された。日本語詩ではなぜかバラではなく白菊が登場する。ここでは、カリンバの訥々とした美しい音色にのせて、素朴で穏やかに歌い上げられている。温かい声質を持ち、直接聴く者の心に届く歌を歌う小板橋八重ならではの世界が広がる。
2. Amazing Grace アメイジング・グレース> 4:45
18世紀半ば、奴隷貿易で富を手に入れたのち、牧師に転身したというイギリスの詩人ジョン・ニュートンの詩が付された賛美歌。曲は、アイルランドやスコットランドなどで古くから歌い継がれたケルト起源のキャロルともいわれる。バウロンのような音色を持つ同種の片面太鼓・ダフの印象的なビートにのせて、アイリッシュフルートの一陣の風のような旋律から始まるこの演奏は、全編3人3つの楽器だけで演奏されているとは思えないほどの奥行きを感じさせる。歌と笛がまるで寄り添うように歩を進め、時間を刻む。後半の日本語詩は、小板橋八重本人による哲学的な歌詞。自らの心に問いかけるようでもあり、元詞への回答のようでも、聴き手への助言のようでさえある短くも深い詩だ。
3. Just as the sun was setting ただ落日のごとく> 3:20
20世紀につくられ、著作権を放棄することでケルト音楽の復興に寄与する意思表示を行う、いわゆるニュートラッドと称されるスコットランドの器楽曲がもと。キャッチーで、かつ普遍的な旋律にほれこんだ作詞家・栗沢右近が自作詩をのせ、小板橋八重も参加したmundo musico のアルバムで発表された。そのアルバムでは別の歌手が歌っていたが、ここではすっかり自分のものとしているのはさすが。ケルトの哀愁あるマイナーで切なげな曲調がよく似合う歌手である。日本語も彼女が歌うと、衒いなくスッと心に入り込んで来るから不思議だ。中間部に挿入されているのは、本来スピード感を伴って演奏されるべき4拍子のアイリッシュの舞曲=リール、Sleep Soond ida Moarnin’ [Sleep Sound in the Morning]だが、このセッションでは本編にあわせ、あえてゆったりとその旋律のもつ躍動感と郷愁を活かして演奏されている。
4. Danny Boy ダニーボーイ> 5:49
古いアイルランドの伝承曲に、20世紀初頭、イギリスの弁護士でソングライターのF.ウェザーリィが詩をつけたもの。曲は日本でも「ロンドンデリーの歌」として知られている。この美しい旋律には、前述のトーマス・ムーアをはじめ、世界中で数えきれないほどの歌詞が付されたといわれるが、今日残って私たちの知るところとなっているものは少ない。出兵していった息子を思う切ない親心を歌ったこの歌詞は世界中で愛され、数々の有名歌手が歌い上げて来た名曲だ。日本語詩としても、第二次大戦に赴いた息子を慕い、切々と思いを募らせる母親の歌として作られたものが残っている。ここでは、しっとりと感情豊かに、アコースティックギターの伴奏にのせて、染み入る歌詞を大切に歌われている。
5. Starry Night in Shetland 星降る夜に> 6:07
スコットランド北東に位置し、ケルトとヴァイキングの両勢力に翻弄された歴史を経て、独自の文化を持つシェトランド諸島の、美しく広大な星空を描いたスコットランド由来のワルツに、栗沢右近が日本語詩を付した佳曲。若かりし頃から思い続けたひとへの慕情が土地の風景や夜空の星とともに、いつまでも甦るという、いわば純愛を描いた詩だ。ギターとカホンのゆったりとタメのある3拍子にのせ、素直にのびやかな声によって歌われる、時空を超越してなお初々しい純情。小板橋八重にしか描けない世界がそこにある。作詞家直々に以前より再三のオファーを受けていた彼女が、遂に初録音を敢行した。なニュアンスのもので、そして年月を経た重みや人間の真実を的確に伝えるものなのだな、と納得。レコーディングでは、実際に母が息子を前に歌っているものを採用した。
6. God rest ye merry, gentlemen ためいきの森> 4:08
歌われている主旋律自体は、実はケルトの曲ではない。クリスマス・キャロルとして世界的にも有名なこの曲は、元来18世紀半ばにつくられたイギリスのキャロル。原詩はさらに遡り、15世紀のものとされる。いわゆる古楽として原題でもなお人々に愛され続けている貴重な存在だ。途中から歌い継がれる日本語詩は、栗沢右近の筆によるもの。諦めや絶望、倦怠や閉塞感から来るためいきに満ちた現世を生きる人々へ、今を生き延びて、それでもこの先の世界に何かを見いだして行こう、と呼びかける。主旋律の合間と最後に挿入されているのは、れっきとしたケルトの楽曲。原題を『Chi mi na mor-bheanna』(霧深き山々)という、スコットランドのワルツ。アイリッシュフルートによって奏される印象的な旋律だ。
7. Illian Dhone 熱砂の夜> 3:33
原曲は、かのチーフタンズもアルバムで取り上げている、珍しいマン島のキャロル。アイリッシュ海の中央に位置するマン島はケルトとの因縁も深く、その独自の文化がいまだ根付く土地。短く美しく、のどかで幽遠な旋律にのせて、栗沢右近ならではの美しい日本語によって、切なくもどかしく、艶かしくも虚しい男女の思いが滔々と歌われていく。10年近く前に、この演奏でウインドシンセサイザーを吹く黒澤自身のギターと歌で、当時率いていたカオス☆ヴォックスというグループのアルバムで発表されて以来の再演。その際に、チェロのためにつくられた魅力的な対旋律をダブルリードのような音色設定のウインドシンセで演奏している。小曲ながら、聴き応えのある密度の濃い一曲。
8. The Greenwood Tree 愛しさのかけら> 5:40
スコットランドの美しいニュートラッド・ワルツ。途中に挿入されている『Great is Thy Faithfulness』(偉大なるは汝の忠義なり)と同様、器楽曲として書かれ流布されていたものだが、その旋律の希有な魅力に惹かれた栗沢右近が、これまた希有な魅力に満ちた日本語詩を付した。人を愛するということが、どれだけの力となり得るか、それを体験した人なら誰しもが共感し得るその生命力溢れる瞬間を描いたこの詩を、今年初め結婚したばかりの小板橋八重が、まさにその只中にあって、実感を伴いつつ歌い上げている。トラック3同様、数年前に発表されたmundo musicoのアルバムにおいて、彼女自身の歌で初演・発表されているが、大切に育んで来た愛を成就させた今、その成熟した歌の世界は、より一層の深みと説得力を伴って、言葉を私たちの胸の奥深くまで運んでくれる。
MUSICIANS;
Yae Koitabashi=Vocal
the MoonNotes
Kuni KUROSAWA= Irish Flute, Flute, Wind Synthe, Guitar
Masao NAKAMOTO=Guitar, Cajon, Kalimba, Daf
Recorded at Rootstock Studio, Kamakura
Engineered by Masao NAKAMOTO [Rootstock] info@rootstock.net
Designed by Jay DEE [Estudio Euphonia] euphonia@monochord.jp

